リソ活♡

毎日リソルまみれ

アラモンドであら、魔族

「そろそろ11月22日だねえ。リソルと付き合って何年だっけ?忘れちゃった!」

 

おいおい、数百年以上生きる魔族のオレが覚えてて百年ぽっちしか生きられない人間のアンタが忘れてんのかよ。4年だよ4年。

 

「今年は何しよっか。去年は魔界旅行だったね!リソルは何かしたい事ある?」

 

何ってそりゃあ勿論……。

 

「私に首輪買いたいってのはナシね。今アストルティアで流行ってないし。戦ってる時に引っ掛かったら危ないし」

 

「あっそ」

 

主人公も流行りとか気にするんだな。

ていうかオレがしたい事そんなんじゃないし。

 

「そうそう!そう言えばこの前アストルティアでリソルと行きたい場所見つけたの!」

 

キラキラと目を輝かせて言う。

ホント、アンタはいつも楽しそうだな。

 

 ※ ※ ※

 

記念日当日。

祈望館のオレの部屋まで迎えに来た主人公のメガルーラストーンを借りて着いたのは。

 

「あらぁっ!可愛いボーヤ♡おねえさん、ボーヤになら何でもしてあげちゃうっ♡どぉ?おねえさんとぉ、イ・イ・コ・ト、しなぁい?」

 

「よぉ!アンタ、また来たのかい?今度アタイとも走ろうぜ!」

 

「あああああ〜〜〜〜ん!ネコチャン!どちたの?ねむねむなの?かわいいでちゅね〜〜〜〜!」

 

「オラァッ!何見てんだ!ジロジロ人の事見てんじゃねーぞ!」

 

「……なんなのここ。正直、今すぐ帰りたいんだけど」

 

かなり、治安が悪い。ファラザードの裏通りとどっこいどっこいじゃないか?ここ、本当にアストルティア?うわ、さっきのケバい女プクリポ、まだこっち見てる。

 

「ここはプクランド大陸の魔窟アラモンド。びっくりした?説明しとけば良かったね。ごめん。でもね、奥に、超〜〜〜可愛いお店があるんだ」

 

主人公に言われるまま奥に進むと、場違いにカラフルポップに修飾された、可愛らしいカフェがあった。

 

「バズスイーツカフェへようこそぉ〜」

 

「はい、座って座って!何頼む?」

 

テーブルの中央のプクリポ型のメニュー表に目をやる。

ぐるぐるストロベリー♡……、ロールケーキ?ラ、ラブリーレインボーティー、ふわりん★バズコットン?キャンディー……。

は?これ、食べ物の名前?

 

「新メニューのパンケーキ頼もっ!美味しいんだよ!あ、ねえねえ、ラブリーレインボーティー、1個頼んでふたりで飲まない?グフ、グフ、グフフフフ」

 

ヒロイン(?)がそんな顔と声で笑って良いのかね。

 

「やだね。誰がそんな事」

 

当然断る。

 

「え、聞こえなかった~。アレ?今日何の日だっけ?」

 

チッ。こんなの、今日だけだからな!

 

「やった〜。あ、すみませ〜ん!パンケーキ2つと、ラブリーレインボーティー1つお願いします」

 

「ラブリーレインボーティーはおひとつでよろしいですかぁ〜?」

 

「はいっ!」

 

店員は主人公とリソルを見て、「ああ」と納得したようだ。

 

「かしこまりましたぁ〜。ごゆっくりど〜ぞ〜」

 

 ※ ※ ※

 

「天界に源生植物研究所っていう所があってね、そこでマイタウンメダルが出たの!」

 

「へー。何枚?」

 

「1枚」

 

「何枚集めるとマイタウン権利書と交換だっけ?」

 

「1000枚」

 

「今アンタ何枚持ってんの?」

 

「……90枚」

 

「気の遠くなる話だな」

 

1000枚貯まるまで何年かかる事か。

 

「弟に錬金術でマイタウンメダル作って貰えないかな」

 

それは不正でBANされるんじゃない?

 

「そうそう、この前弟がみそぎの水からルティアナの神気を錬金術で抽出したんだよ!すごくない!?」

 

「お待たせしましたぁ〜。パンケーキおふたつとラブリーレインボーティーおひとつです〜。ストロー、こちらご利用になりますかぁ〜?」

 

店員はピンクのハート型のストロー……のような物を差し出した。

 

「はいっ!ありがとうございますっ!」

 

リソルは先程の決断を激しく後悔しながら溜め息をついた。

 

「可愛い〜。そうだ、これ、ふたりでストロー咥えて写真撮ろっ!」

 

「は」

 

「今日の最後のお願い!これで終わりだから!あとはもうリソルの言う事何でも聞くから!」

 

「〜〜〜〜〜ッ!」

 

くそ〜〜〜!本当に首輪着けてやろうか!

 

「は〜い、撮りますよ〜!」

 

カシャッ。

 

「グフ、グフフフ、グフフフフフフ」

 

撮れた写真を見て主人公は気持ち悪い声で笑っている。

はあ、どっと疲れた。もう帰りたい。

 

「あとね、占いもあるよ。すっごい当たるから!やってく?ふたりの相性占っちゃう〜?」

 

「占わなくても分かるでしょ」

 

「え」

 

主人公の顔が真っ赤になった。

形勢逆転で、ここからはオレがいじめさせて貰おうかな。

 

「…………?……?」

 

「……ッ!……ッ!!」

 

 ※ ※ ※

 

とっぷり日が暮れて。

リソルは祈望館へ。

主人公は新エテーネ村へ。

 

「ねえ弟。プクランド大陸の魔窟アラモンドのバズスイーツカフェに行ったんだけどさ、そこのスイーツにニコちゃんみたいなのがついてたんだけどさ、錬金術で何かお手伝いとかしたの?」

 

主人公は村の研究所にいる弟に訊いた。

 

「んーどうだったかな。おいら、数千年漂流してて……。姉ちゃんの事を忘れないようにするだけで精一杯だったから」

 

「そっか……。ごめん、変な事訊いて」

 

「ううん、大丈夫。あ、姉ちゃん、今日は誰といたの?随分ご機嫌みたいだけど」

 

「今日はリソルと記念日デート♡」

 

「デート?!リソル??」

 

「言ってなかったっけ?アスバルの従者」

 

「アスバルって魔王アスバル!?え?姉ちゃん、魔族と付き合ってるの!?」

 

「じゃあね〜おやすみ〜」

 

「ちょっと待って!?姉ちゃん!?」