モンスター格闘場での初デート?から
2回ほどふたりでご飯に行ったけれど
告白はされなかった。
両想いな気がするのになぁ。ただの友達なのかなぁ。リソルがあんなにキラキラした笑顔になってるの、私の前でしか見た事ないのに。
そんな風にもやもやしていたら先日屋上でついに告白された。
館に花嫁として招待するとか、オレの全てを捧げるとか、人間にも魔族にもふたりの邪魔はさせないとか、人間である主人公が先に死んでも愛してやるとかもの凄い告白を受けた。今思い出しても胸がいっぱいになる。
今日は恋人になってから初めてのデートだ。行き先はアスフェルド学園祭なのでフウキ委員の皆にも出くわしてしまうかもしれない。皆にも付き合ってるってバレちゃうかも!いや、フウキ委員だから一緒にいるの当たり前だってなんとも思われないかも?
悶々としながら祈望館の前でリソルを待つ。
「…おはよう」
照れ臭いのか目をそらして挨拶をするリソル。
「行こっか。…お腹空いたな。起きてからまだ何も食べてないんだ。主人公は?」
主人公もお腹が空いたと返事をする。
「…そっか。じゃあ模擬店のある校庭の方へ行こうか」
なんとなくお互い距離をあけて歩くふたり。
そこへリソルのクラスメイトと思われる二人組の女子生徒がリソルに話しかけてきた。
「あッ!リソル君だぁ♡」
「きゃー♡学園祭で会えるなんてラッキー♪」
リソルは気付いているのかいないのか
スルーだ。
「あーん、リソル君クール!」
「でもそこがいいよね♡」
目をハートマークにしたままの二人組に見向きもせずリソルは校庭に向かって歩き続ける。その横で主人公は内心穏やかではなかった。
リソルってモテるんだな、とか私達がカップルに見えないからああやって横やりが入るのかな、とか。
そういえば、この前も女子に屋上に呼び出されて告白されてたし。自分はリソルと釣り合ってるのかな…
メギス鶏の唐揚げやらホイミン焼きそばパンやらを購入して講堂のステージの出し物を見る。可愛い女子数人で流行りのアイドルグループの歌を振りつきで歌っている。
…リソルもああいう女の子の方が好きかなぁ…
ステージに立つ女子達を黙って見詰める
リソルの横顔を見ながら心の中で溜息をつく。
手品や大道芸、漫才などいくつかの出し物が終わった。
もうすぐ夕暮れだ。あと2つくらい見終わればアイゼル率いる生徒会の出し物だ。何をやるかは当日のお楽しみと言ってアイゼルは教えてくれなかったけれど楽しみだ。
そんな主人公にリソルが言った。
「寒くなってきたしオレの部屋に行かない?薄着で来ちゃったからさ」
講堂にはヒーターが付いているとはいえ、日が暮れたら制服にカーディガンだけではさすがに寒そうだ。アイゼルの出し物は気になったが祈望館のリソルの部屋に行く事にした。
部屋に着くとリソルがコーヒーを淹れてくれた。コーヒーカップを両手で包みこむようにして手を温める。
「…今日の主人公、元気無くない?どうしたの」
主人公は驚き、なんでもないと言ったがリソルが
「絶対そんなはずない。オレの目は誤魔化せないよ」
と食い下がるので仕方なく打ち明けた。
「はぁ?オレが他の女子にキャーキャー言われてるから自信無くした?…何言ってんだよ、主人公…。その辺の人間になんかオレは全く興味無いから。オレが今まで興味持った人間はアンタだけ。これから先もアンタ以外の人間に興味持つなんてあり得ない。オレの全てを捧げるって言ったのにもう忘れちゃった訳?」
そんな事はないと首を横に振る主人公にリソルは
「いいよ。じゃあ思い出させてやる。
二度と忘れないように、今度はもっと…」